性被害の末に妊娠し、家族にも相談できないと思い詰めた20代のエリさん(仮名)。西日本に住む彼女は熊本市の慈恵病院にまで足を運び、病院のスタッフだけに身元を明かして出産した。

 利用したのは、病院以外に身元を明かさなくてもいい「内密出産制度」。エリさんは、制度を知らなければ「子どもを殺して、私も死んでいた」と苦しい過去を吐露する。

 性被害や不倫、ドメスティックバイオレンス(DV)など、さまざまな事情で予期せず妊娠する女性がいる。誰にも相談できないまま孤立し、医師などが立ち会わない状態での出産を余儀なくされた末に、乳児を殺害したり、...