隠岐諸島に住む個性的な人材が講演する「隠岐郡100人カイギ」が20日、島根県隠岐の島町で開かれた。公立中学校長を退職して不登校支援の活動を続ける渡部正嗣さん(59)ら5人が登壇して自身の取り組みをアピールした。渡部さんは、不登校の子どもを集めた学校創立の構想を紹介した。
松江市出身で1989年に海士中学校へ赴任して以来、35年の教員生活の多くを隠岐諸島で過ごしてきた渡部さんは昨春に校長職を辞し、不登校の子どもたちの学習支援活動を行う一般社団法人アナザーステージを始めた。きっかけは中学で不登校になった次女。不登校の子どもは社会と分断されていると感じ「学校の外側から教育を変えよう」と活動を始めた。
昨夏に不登校の子どもを集めて町内でキャンプを開催。雄大な自然と地元のお年寄りの優しさに触れた子どもたちは、2泊3日で生き生きとした表情に変わったという。
渡部さんは「もうすぐ60歳だが、夢がある。10年以内に隠岐で学校をつくりたい」と強調。全国から不登校の子どもを集め、最新のICT(情報通信技術)を取り入れたeスポーツや教育に加え、地域の人が出入りして一緒に育てる学校の構想を披露した。
隠岐郡100人カイギは地元有志が主催し、これまで島前3町村で4回開催し計20人が登壇した。隠岐の島町では今回が初開催で、残り75人の発表を目標に隠岐諸島で月1回、集まりを開く。(鎌田剛)