
―物流の2024年問題で運送業者の人手不足感が高まる中、対処策を講じておられます。
24年は4万3千㌧の鋼材を島根県内約400社に納入しました。組合員企業へ迅速に納入し、地元の組合員企業を支えることが私たちの使命です。営業所・倉庫を県内の計4カ所に持つ強みを生かし、運送会社に頼り切らず安定供給ができるよう、配送業務の一部内製化を進めていきます。
―8月には鐵工会館を半世紀ぶりに移転新築されます。
組合員数は現在、378社になっています。今後の減少に歯止めをかけるため、協同組合としての設立原点に立ち返り、「輪」の力を生かしていきます。中小・零細が大半の組合員企業では人材確保が課題で、高卒初任給を大幅に上げないと人が採れない時代が近づいています。生産性と付加価値を高める努力を通して単価を上げ、賃金に反映していかなくてはなりません。組合としての役割は各社が「稼ぐ力」を高める支えになることで、新会館をその拠点にしていきます。

―具体的に取り組まれることは。
完成と同時にデジタルトランスフォーメーション(DX)サポートセンターを開所し、図面展開や見積もり関連のシステム導入、人工知能(AI)活用による合理化などを積極的に支援します。また「コネクター・ハブ」としての役割をさらに強めます。組合が鋼材や工具器具をまとめて仕入れ、県内の組合員企業に供給する共同購販の規模は100億円を超え、これまでは商社機能が中心でした。今後は、大きな受注を取ってきて会員に振り分けるサポート機能を強化したいと考えています。
―情報や仕事が得られる場にすることで、組合員の来館機会を増やすことも狙っておられます。
鐵工会の存在意義を高めることで組合員同士の交流、すなわち「ヨコのつながり」を生み出したいと考えています。組合員同士の連帯感が高まり、水平分業が促進されることは稼ぐ力につながると信じています。


鉄の歴史は人類発達の歴史でもあり、引き続き成長する材料の主役です。 そして、わたしたちにとって一番身近な素材でもあります。 島根県の鉄鋼業界、地域経済発展のために、次世代を担う皆さん!一緒に島根のものづくりの未来を拓いていきましょう。
児玉泰州=島根県松江市出身。2014年に現職に就任。
