―新卒採用者や若手社員の給与引き上げなど、人的資本投資の拡充を進めています。
初任給の引き上げ競争はここに来て意味を成さなくなったと考えています。とことん働きたい社員、家庭やプライベートを両立したい社員など多様な働き方に応え、トータルで社員の力が発揮できるような環境づくりを目指しています。福利厚生も本当に役立つ、使いやすいものであることが大切です。育児休業ならば、最も手がかかる1、2歳で取れるようにするなど、社員が本当に助かる制度を作っていきたいです。

―しまね未来共創チャレンジ(通称みらチャレ)の取り組みなど、若い世代に向けた教育事業にも力を入れています。
山陰両県では廃業が増加しており、若い力でのスタートアップを育てなければなりません。いわゆる立ち上げ段階の若者の起業家精神(アントレプレナーシップ)を養い、事業する意識をつけていくのが目的です。U―25版も始めましたが、やるとなれば、相手をプロとして本気で指導し、起業のサポートをしていきます。

―TSKグループでは、民間放送事業だけでなく、時代のニーズに合わせ活動領域を広げて取り組んでいます。
テレビは昔、家のリビングの中心にあり家電の王様でしたが、今はある意味でモニターであり、それぞれの興味に合ったネット番組や映画を見ています。テレビは以前はいわばメインディッシュでしたが、今後はソースやスパイスになり、素材を引き立てる役割になることが重要です。観光や歴史的財産といった地域資源を生かせる企画をつくり、結果を出しながら信頼を得て広告を付けていただく。そういった在あり方を実践していきます。

―将来的な展望をお聞かせください。
メディアは地域をブーストする中心になっていかねばなりません。今までとは異なることにも取り組みながら、地域を背負っていけるグループになるよう努めたいと思います。

 

我々はテレビの枠にとらわれず、地域の課題に向けて様々な事業にこれからも取り組んでいきます。若い皆さんには、新しい発想を持って失敗を恐れず、果敢にチャレンジしてほしいと思います。 

田部 長右衛門=雲南市吉田町出身。 
(株)フジテレビジョンでの勤務を経て、2010年に山陰中央テレビジョン放送(株)に入社。 
2016年から現職。