増水した高津川に流された男性を三星橋の上から捜す地元住民=9日午前8時20分、益田市神田町
増水した高津川に流された男性を三星橋の上から捜す地元住民=9日午前8時20分、益田市神田町

 台風9号が9日、中国地方を通過し、島根県西部や隠岐で記録的な大雨が降った。気象庁は午前、隠岐上空に積乱雲が連続的に形成される「線状降水帯」の発生を発表した。益田市内を流れる高津川では市内在住の男性が流されて行方不明となったほか、島根県内で強風にあおられるなどして3人が軽傷を負った。台風から変わった温帯低気圧は10日に日本海から東北に進む見込み。

 9日午後6時現在の24時間降水量は海士321・0ミリ▽波佐(浜田市)297・5ミリ▽桜江(江津市)287・5ミリ▽瑞穂(邑南町)268・5ミリ▽川本255・0ミリーなど。海士は観測史上最大で、平年の8月1カ月分の約2・3倍に相当する雨量となった。

 また、同時刻現在の最大瞬間風速は出雲空港36・5メートルなど島根県4地点、倉吉32・9メートルなど鳥取県2地点で観測史上最大となった。

 益田署によると、9日午前6時50分ごろ、益田市神田町の高津川に、同市向横田町、団体職員柳原宏之さん(46)が転落。知人2人と転覆した川舟を戻そうとしたという。警察などが捜索したものの見つからず、いったん打ち切った。10日に再開する。

 島根県内の住宅浸水は床上が海士町など隠岐郡3町で計3棟、床下が6市町村で計35棟。県内では午後3時現在、隠岐4町村など計11市町村の13万7千人に5段階の警戒レベルで2番目に高い「避難指示」が発令された。9日午後6時現在で6市町村計56人が避難している。

 公共交通機関は出雲空港など山陰両県4空港発着の11往復22便が欠航。10日は通常運航する。JR米子支社管内は特急計43本が運休・部分運休し、線路が一時冠水した一畑電車は全線で運転を見合わせた。JRは木次線の一部を除き10日は通常運行、一畑電車は北松江線の雲州平田―松江しんじ湖温泉間で一部ダイヤを変更し、運行を再開する。