全国警察のストーカー検索システム
全国警察のストーカー検索システム

 警察庁が、全国の警察が扱ったストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)、児童虐待といった「人身安全事案」に関する情報をデータベース化し、都道府県警が共有して全国を横断的に検索できるシステムの構築を目指していることが11日、同庁への取材で分かった。システム完成後に各警察のデータを順次移行し、数年後の本格運用を検討している。

 データベースに登録する情報は被害者と加害者の氏名、住所、転居先、相談内容などを想定。都道府県警は新たな相談や事件情報があった際、直ちに検索して緊急性を見極め、迅速な被害者保護につなげる考えだ。

 重要な個人情報を扱うため厳密に管理し、職員のアクセス権も限定する措置を検討している。

 警察庁によると、人身安全事案の情報は基本的に都道府県警がそれぞれで管理している。他警察で取り扱った情報は問い合わせる必要があり、転居情報はファクスやメールで送受信している。

 新システム運用後は、例えば被害者が転居先の警察にストーカー相談をした場合、情報を即座に検索し、以前の住所地でも警察に相談が複数あったことを把握、切迫していると判断して緊急保護するなど、素早い対応が期待される。

 人身安全事案は初動の遅れや連携不足が人命に重大な危険を及ぼす恐れがある。2011年の長崎ストーカー殺人事件では相談を受けていた千葉、三重、長崎の3県警の連携不備が、16年の東京・小金井女子大学生刺傷事件では警察署が被害女性の相談を本部専門部署に報告していなかったことが問題となった。

 被害は深刻で、20年に全国の警察が受けたストーカー相談は2万189件で13年から2万件台で推移。DVは8万2643件で01年のDV防止法施行以降、過去最多を更新した。虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは10万6991人に上り、統計のある04年以降初めて10万人を超えている。