「迎え火」がともされた花見潟墓地=鳥取県琴浦町赤碕
「迎え火」がともされた花見潟墓地=鳥取県琴浦町赤碕

 2万基余りの墓が日本海に面して並ぶ鳥取県琴浦町赤碕の花見潟墓地で13日夜、故人の霊を導く「迎え火」がともされた。点々とした明かりが潮風に揺れ、幻想的な景色が広がった。

 日没近くに墓参りに訪れた地元住民らが、灯籠に火をともした。例年は帰省者と地元住民があいさつを交わす声が聞かれるというが、新型コロナウイルス禍で静かな盆入りとなった。

 町観光協会によると、中世後期以降に住民の墓が次々と建てられた。敷地面積約2万平方メートルは、海岸にある自然発生墓地で国内最大級。

 明治期の1891年に松江市から新婚旅行中に立ち寄った文豪・小泉八雲は「人力車で抜けるのに15分かかった」「霊気を感じた」と記したという。 (田淵浩平)