ワクチン接種後の健康状態調査のイメージ
ワクチン接種後の健康状態調査のイメージ

 新型コロナウイルスワクチンによる副反応の情報を会員制交流サイト(SNS)などを使って集める大規模調査について、厚生労働省が担い手となる業者の入札を実施したところ応募がゼロだったことが14日、分かった。副反応に関する情報発信を強化するため、幅広い年齢層からデータを集める予定だったが、開始の見通しが立たないまま計画は宙に浮いている。

 調査は、各接種会場で参加者を募り、「37・5度以上の発熱」や「注射部位の発赤」といった比較的軽い症状が接種後に生じたかどうかを接種した人にオンライン上で報告してもらう計画。ワクチン1種類当たり接種100万回分のデータ収集を目標としている。

 厚労省は、6月28日に一般競争入札を告示したが、入札書の提出期限だった7月13日までに応募した業者はなかった。

 入札の不成立について、厚労省関係者は「大規模に集めるのが難しかったり、アンケートの仕組みを作れなかったりといった技術的な側面もネックになったのかもしれない」と話す。今後、調査方法や規模を見直す可能性もある。

 副反応の発生状況を把握するため厚労省は、全身のアレルギー反応など、まれだが重い症状を医療機関が国に報告する「副反応疑い報告制度」を整備しているほか、先行接種した医療従事者や自衛隊職員ら約3万人を対象に健康調査を行った。

 ただ、先行的な調査では対象人数が限られているため、厚労省はさらにワクチンの安全性に関わる情報を集め、発信を強化しようとSNSなどを使った計300万回規模の健康調査を計画した。本来は4月の高齢者への接種開始と同時に着手する予定だった。

 予算は約1290万円を確保し、厚労省は当初、LINE(ライン)の利用を想定していた。しかし、3月に利用者の個人情報が中国の関連会社から閲覧できる状態になっていた問題が発覚したため断念した経緯がある。