活発な前線が停滞した影響で14日、福岡、佐賀、長崎の九州北部と広島、島根両県など西日本を中心に記録的な大雨となり、島根県内の江の川が、江津市と川本、美郷両町の計6カ所で氾濫した。前日に水があふれた広島側を含めると氾濫箇所は計9カ所となった。江津市は松川、川平、川越の3地区628世帯1154人に、5段階の警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」を発令した。午後9時時点で解除されていない。 (佐貫公哉)
国土交通省浜田河川国道事務所によると、江の川の島根側で氾濫したのは美郷町港▽川本町川本の谷▽江津市桜江町田津▽同町大貫▽江津市川平町南川上▽同市松川町長良|の6地区。このうち、田津では家屋への浸水が確認された。6地区とも2018、20年の豪雨でも氾濫した。
また同日午後9時の時点で江津、益田、津和野、川本、美郷、奥出雲の6市町が2万3732世帯、5万1142人にレベル4の避難指示を出している。島根県のまとめでは、同日午後4時時点で13市町で最大944人が避難した。
11日午後1時の降り始めから14日午後5時までの各地の降水量は、川本230・5ミリ▽桜江189ミリ▽瑞穂(邑南町)で242・5ミリ|など。
島根県によると、14日午後4時時点で人的被害は確認されていない。鳥取県によると、同日午後5時の時点で人的、住家被害の報告は入っていない。
公共交通は、JR米子支社管内の境線を除く全線で運転を取りやめたほか、一畑電車でも一時運転を見合わせた。高速道路は中国横断自動車道尾道松江線の高野インターチェンジ(IC、広島県庄原市)ー雲南吉田IC(雲南市吉田町吉田)が通行止めとなった。
全国では、大雨特別警報が佐賀、長崎、福岡、広島4県に出た。国土交通省によると、江の川以外に、佐賀県武雄市の六角川など13河川が氾濫。佐賀県嬉野市では11日からの総雨量が千ミリを超えた。
長崎県雲仙市で13日、住宅が崖崩れに巻き込まれた現場では、安否が分からない2人の捜索が続いた。