第四章・公儀と大名(16)

 

 利長は大久保忠隣(ただちか)をもてなすために酒宴の仕度を命じていたが、

「互いに諸用繋(はん)多(た)の折でござるゆえ、お気持ちだけ有り難く頂戴いたす」

 忠隣は気の毒そ...