隠岐諸島で大型ヒラマサが回遊しており、太公望を喜ばせている。島根県西ノ島町の磯では9日夕、130センチ、17キロの大物が山陰伝統のタルカゴ仕掛けに釣れた。釣り人2人が交代しながら、30分以上かけて引き上げた。
松江市うぐいす台の福田恵(さとし)さん(73)が釣り上げた。9日早朝に七類港を出発し、三度崎近くの実績がある磯に同行者と上がった。オキアミを餌に樽(たる)浮きを使う仕掛けで竿(さお)を出したが、午前中は潮が動かず目立った釣果がなかった。本流の潮が流れ出して以降も狙っていたマダイは姿を見せず、餌は針に付いたままの状態が続いた。
午後6時ごろになり「ガーン」と大きな当たりがあり、道糸が100メートルも出された。「最初は大鯛(おおだい)かと思った」と福田さん。横走りする動きから青物と確信し、引き寄せたり出されたりの攻防が続いた。竿や仕掛けは軽め(竿3号、道糸、ハリスともに6号)だったため、慎重なやりとりを続けた。長期戦になり、同行者と交代しながら距離を縮めた。
約40分後、ようやくヒラマサが顔を見せた。たもの枠は60センチで入りきらないため、最後はたもで頭を押さえ、同行者が尾をつかんで引き上げた。キャリア50年の福田さんも「今までヒラマサの最高記録は70センチだった。ここまで大きいとは思わなかった」と記録更新に驚く。
餌釣りで130センチの釣果は珍しいが、ルアー(疑似餌)の仕掛けでは同じようなサイズが出ているという。2人を磯に渡した松尾丸の松尾翔平船長(36)は「今年はヒラマサの当たり年だ」と話している。
(鎌田剛)