それほど大きくはない声が、にわかに腹に差し込んできた。能楽師の安田登(68)が「高砂」を謡う。寺での講座に集った20人ほどの男女の声がそれに続く。話題は論語や源氏物語、漢詩へと広がる。その語り口は染み入るように柔らかい。だが謡に戻ると声は一閃(いっせん)、見えない光となって聴く側の体に届いた。
「古典を学ぶ目的は、知識を得るというよりも『腹に落ちる』感覚になってもらうことにあります」。大陸から漢字が入るよりも前、日本語は声という「音」で伝えられた。今よりも身...
それほど大きくはない声が、にわかに腹に差し込んできた。能楽師の安田登(68)が「高砂」を謡う。寺での講座に集った20人ほどの男女の声がそれに続く。話題は論語や源氏物語、漢詩へと広がる。その語り口は染み入るように柔らかい。だが謡に戻ると声は一閃(いっせん)、見えない光となって聴く側の体に届いた。
「古典を学ぶ目的は、知識を得るというよりも『腹に落ちる』感覚になってもらうことにあります」。大陸から漢字が入るよりも前、日本語は声という「音」で伝えられた。今よりも身...
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