安来市広瀬町で22日、地元の郷土史研究家、原田一さん(40)が「広瀬藩松平家入門」と題して講演した。松江藩からの分藩で、10代にわたった藩の歴史や歴代藩主の功績を紹介し「多くの災害に見舞われながらも安定した治世だった」と解説した。
原田さんは同町出身で安来高校を経て仏教大学文学部を卒業した。現在は安来市内の会社で勤務する。祖父の影響で歴史に興味を持ち、国立国会図書館のデジタルアーカイブなどを活用して文献資料を調べ、現地を訪ねるなどして独学で郷土史を研究している。
原田さんは広瀬藩について「1666年に初代藩主松平近栄(ちかよし)が3万石を拝領しスタートした」とし、広瀬の城下町の様子や、徳川家康の次男結城秀康を家祖とする広瀬藩松平家のルーツを紹介した。
善政をした名君を輩出したことに触れ「広瀬藩は14回火災に見舞われ、風水害にも19回見舞われた。藩邸も2度焼失しながら復旧できたのは忠誠心の高い士民に支えられていた証拠だろう」と話した。
講演会は広瀬町文化協会(鈴木恵美子会長、91人)が2025年度総会に合わせて開き、会員ら約50人が聴講した。
(中山竜一)