佐々岡健次さん(右)の解説を聞きながら鑑賞する来館者=江津市桜江町川戸、今井美術館
佐々岡健次さん(右)の解説を聞きながら鑑賞する来館者=江津市桜江町川戸、今井美術館

 漫画家・故水木しげるさんのプロダクションで、チーフアシスタントを務めた佐々岡健次さん(82)=浜田市旭町本郷=の石見地方などに伝わる妖怪の絵画展が5日、江津市桜江町川戸、今井美術館で始まり、来館者は緻密な描写や高い画力の70点をじっくり鑑賞している。8月3日まで。

 佐々岡さんは浜田市出身で漫画家を志して1961年に上京した。「ゲゲゲの鬼太郎」の絵を描くなど活躍し、2000年にUターン。妖怪伝説の文献調査や聞き取りをして絵画を制作する。展示する作品の半数は石見地方に関係する。

 「長谷・山中の狒(ひひ)」(江津市)は、酒好きの高齢男性が寂しさのあまりにヒヒになってしまった悲哀を表現した。「化け猫」(浜田市)は、宿を探していた男が、一度断られた高齢女性を訪ねると、女性の正体が化け猫だった姿を描いた。

 親子3人で訪れた江津市桜江町市山の教員、大谷みゆきさん(34)は「身近に伝承があることを初めて知った。絵は怖さよりもかわいらしく子どもも楽しめた」と笑顔で話した。

 午前10時~午後4時、会期中は無休。一般千円(学生無料)。佐々岡さんのトークイベントが6日午前10時半と午後1時半にある。12、19の両日午後5~同8時はナイトミュージアムがある。問い合わせは今井美術館、電話0855(92)1839。
     (村上栄太郎)