ここのところ、ふと昔を思い出す瞬間が増えてきました。久しぶりにかつて弾いていた曲を演奏する時には、「この曲を弾いていた頃、自分はどんな日々を過ごしていたのだろう」と思い返し、大学で生徒たちとレッスンをしていると、「あの頃の自分は、どんな気持ちで音楽に向き合っていたのだろう」と、自分の学生時代をふと重ねることがあります。

 連載第2回となる今回は、そんなふうに自分自身の歩みを、少し振り返ってみたいと思います。取り立てて劇的な出来事のある人生ではありませんが、ひとりの音楽家として過ごしてきた時間を、ゆるやかにつづってまいります。どうぞ気軽にお付き合いいただけましたら幸いです。

 私は1992年11月13日、千葉市に生まれました。昔から「1992」という数字と「1113」という並びがなぜか好きで、時計が11時13分を指しているのを見ると、少しだけうれしい気分になります。

 父はクラシッ...