秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる

 -藤原敏行「古今和歌集」

 「秋が来た」と、はっきり目で見えるわけではない。けれど、風の音にその気配を感じる-。

 平安時代の歌人・藤原敏行のこの歌は、季節の移ろいを心で受け止める豊かな感性を...