厚生労働省は26日、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンについて、5都県8カ所の接種会場で計39本の未使用状態の瓶から異物の混入が見つかったと発表した。厚労省は混入の危険性が否定できないとして、同時期にスペインにある工場の同じ製造ラインで作られた3ロット計約163万回分の使用を見合わせるよう要請した。各地では職場接種を中断する動きが出るなど影響が広がった。

 163万回分は国内863カ所の接種会場に納入され、共同通信の集計では少なくとも21都府県で18万7千回余りが接種に使われた。今のところ健康被害の報告はない。配布先の自治体名などは「整理中」として明らかにしていない。

 厚労省は「安全性のリスクは大きくない」としているものの、個人が対象のワクチンを接種したかどうかを接種済証などで確認できるようロット番号も公表。健康状態が悪化した場合には医師などに相談するよう呼び掛けている。

 厚労省は、不足分は国内の在庫で対応する考え。国内の販売や流通を担う武田薬品工業は代替品供給に関し「接種への影響を最小限にするよう努める」と表明した。

 菅義偉首相は、都内の視察先で「大きな影響を与えるものではないとの報告を受けている」と語った。

 混入は今月16日以降、茨城、埼玉、東京、岐阜、愛知の5都県にある職場接種や大規模接種会場で確認された。39本の瓶は、スペインにある工場で作られた同じロットの製品。製造ラインで混入が起きたと考えられ、異物は「黒い小さな物質」という情報が複数ある。厚労省幹部は金属片の可能性もあるとした。成分は不明で、モデルナが原因を調べている。海外ではゴム片が混入する事例が報告されているという。

 厚労省は使用見合わせとしたワクチンの配布先への連絡や、代替品の配分に向けた調整などに追われた。文化庁は、文化芸術関係者を対象にした職場接種を中止。全日本空輸は、羽田空港での接種を26日と27日は見合わせると明らかにした。

 使用見合わせとしたワクチンのロット番号は「3004667」(約57万回分)と「3004734」(約52万回分)、「3004956」(約54万回分)の三つ。

 

■鳥取県内1647人に接種

 鳥取県は26日、使用見合わせが要請されているロット番号の米モデルナ製ワクチンが、県内の職場接種会場5カ所で1647人に打たれていたと発表した。健康被害は報告されていない。今後の接種については2カ所で中止が発生した。

 県によると、県内7カ所の職場接種会場に該当のワクチン5800回分が納品され、鳥取県庁(西部会場)と陸上自衛隊米子駐屯地とを除く5カ所で1647回分使われた。

 接種を受けた人に対しては、実施した企業、団体が連絡。県は体調に異変があれば、連絡するよう呼び掛けている。

 7カ所には対象のワクチンが残っており、境港水産振興協会と県庁(西部会場)は週末にかけて計画する職場接種について、非該当のワクチンで代替できず中止を余儀なくされた。

 週末の接種を予定する米子工業高等専門学校は厚生労働省に代わりのワクチンを求めており、届けば実施できるという。

 島根県内では、独自で職場接種を実施する松江市に対象のロット番号の2500回分が届いていたが、使われておらず、今後の接種は非該当分で対応。

 県内で国から職場接種の承認を受けた10団体については、いずれも厚労省から該当のワクチンを納めていないとの連絡があった。

      (藤井俊行)