短歌 宮里勝子選

余命など口にするなよお母さん前歯一本残して笑う        奥出雲 小川寒四郎

 【評】余命なんて口にしないで、と母親に対する息子さんの気持ちが切ない。娘の場合は現実として冷静に受け止めるが。前歯一本で笑うお母さんがまぶしくみえます。

確かなる力ある字の文くれし恩師は今も目標なりき        飯 南 塩田美代子

 【評】元教師との関係が長く保たれている様子がしっかり伝わる。達筆で思いやりのある文章のやりとりなど想像は広がり、作者に今も大きな力を及ぼしている。

十薬の苞の白さの際立ちぬ出西焼の蒼き花...