出雲市稗原地区に伝わる出雲弁の記録と継承に取り組む「稗原弁を語る会」(金山富憲代表)が、稗原弁かるたの冊子とDVDを作製した。地区で話す人が少なくなった言葉を、ほのぼのとした会員の語りと絵や映像で紹介している。
会員の花田恵一さん(82)が手作りで方言かるたを作製したことを機に、住民有志が今年1月、会を設立して冊子などの制作を進めていた。
完成した冊子「おんぼらと稗原弁」はA4判で32ページ。絵札と読み札計54種類と、稗原地区独特の方言や使われ方を紹介している。出雲弁になじみのない人も理解できるよう、札には方言と標準語が併記され、「えらくらし 顔にコバエがもぶれつく」の札には「むしゃくしゃする 顔にブトがまとわりつく」の標準語が添えてある。DVD第1弾は14札を収録している。
30日には、会員8人が市役所を訪れ、完成を報告。市内の7図書館と全小中学校へ寄贈を受けた飯塚俊之市長は「中には最近聞かなくなった言葉もある。地域への愛着を育むためにも、若い人に方言を引き継いでいきたい」と話した。
会は11月に市内で稗原弁をテーマにしたシンポジウムを開く。昭和30年代に稗原地区で盛んだった農村演劇を方言で復活公演する計画も進めており、金山代表は「地域の宝である方言のよさを多くの人に知ってもらいたい」と意気込む。
冊子とDVDの問い合わせは、語る会事務局の石野さん、電話090(7504)2528。
(三原教史)













