完全失業率・失業者数と有効求人倍率
完全失業率・失業者数と有効求人倍率

 総務省が31日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0・1ポイント低下して2・8%となり、2カ月連続で改善した。完全失業者数は前年同月比6万人減の191万人で、18カ月ぶりに減少した。卸売・小売業の就業者数が増えたことなどが要因。厚生労働省によると、有効求人倍率(季節調整値)は前月比0・02ポイント上昇し1・15倍となり、これも2カ月連続の改善となった。

 総務省の担当者は、新型コロナウイルス感染拡大が続く中での完全失業率改善に関し、感染者数と失業者数の相関関係は明確ではないとの認識を示し「注視する必要がある」とした。厚労省も現在の雇用情勢は「厳しさが見られる」とコメント。田村憲久厚労相は31日の記者会見で「飲食店などで厳しい状況に変わりはない。コロナの影響に対応しながら雇用を守っていく」と述べた。

 完全失業者数の内訳は男性119万人、女性73万人。男性が前年同月比で3万人増、女性は8万人減少。産業別就業者数は卸売・小売業が前年同月比63万人増、金融・保険業は11万人増。

 厚労省によると、有効求人倍率の2カ月連続改善は、新型コロナワクチンを打ち終えるまで求職活動を待つ動きが続いており、有効求職者数が減ったことなどが影響した。有効求人倍率は求職者1人当たりの求人数で、職を探す人が減れば、その分倍率は上がる。

 都道府県別の有効求人倍率は、最も高い福井県が1・83倍。最も低いのは沖縄県の0・76倍だった。倍率が1を下回ったのは沖縄のほか、埼玉、千葉、神奈川、滋賀、兵庫の計6県。

 第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストは完全失業率などの改善に関し「外出すれば飲食や買い物をし、対面サービス業を中心に雇用維持の動きにもつながる。7月は人の流れを減らすことができず、指標が改善した」と指摘。「8月はデルタ株の猛威がより強まり、外出控えが広がったはず。じわじわ指標が悪くなる」と予測した。