毎年夏休みに入ると、父が運転する車で東京の自宅を出発し、紀伊半島へと向かった。目的地は熊野川の河口域に広がる和歌山県新宮市。作家の中上紀(なかがみ・のり)(54)は子どもの頃、家族と共に、熊野の地で夏を過ごした。
父の中上健次(なかがみ・けんじ)は紀が小学校に上がる前の1976年、29歳で、戦後生まれとしては初めての芥川賞に輝いた。新宮は健次の故郷。熊野は受賞作「岬」の舞台だ。主人公は「路地」の濃密な人間関係に身を浸し、肉体労働をしながら生きる竹原秋幸。健...
毎年夏休みに入ると、父が運転する車で東京の自宅を出発し、紀伊半島へと向かった。目的地は熊野川の河口域に広がる和歌山県新宮市。作家の中上紀(なかがみ・のり)(54)は子どもの頃、家族と共に、熊野の地で夏を過ごした。
父の中上健次(なかがみ・けんじ)は紀が小学校に上がる前の1976年、29歳で、戦後生まれとしては初めての芥川賞に輝いた。新宮は健次の故郷。熊野は受賞作「岬」の舞台だ。主人公は「路地」の濃密な人間関係に身を浸し、肉体労働をしながら生きる竹原秋幸。健...
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