ほとんどの小中学生は、学校で性交に関する知識を学んでいない。児童生徒に教えるべき内容を定めた学習指導要領に、性交の扱いを禁じるかのような「歯止め規定」と呼ばれる文言があるからだ。いま、国際的潮流になっているのは「包括的性教育」。性交や妊娠にとどまらず、人権の観点からジェンダー平等や多様な性の在り方などについて幅広く学ぶ考え方だ。それなのに日本は、基本的な性教育すらできていない。

 これには、性交を教えることが軽はずみな性交につながってしまうという「寝た子を起こすな」との意識が背景にあるとされる。だが、本当にそうなのか。...