日米開戦前、国際社会から孤立していた日本。日米関係が緊張する中で、海軍はアメリカ太平洋艦隊の動向を探るために吉川猛夫少尉を1941年3月、ハワイに派遣した。千葉出身で、オアフ島の農園で働く父を頼って海を渡った三上嘉会はタクシー運転手に転身したことで、知らぬうちに吉川のスパイ活動に巻き込まれていった。

 真珠湾攻撃の翌月にアメリカ軍当局に拘束された三上は、攻撃2日前の偵察の様子などをアメリカ連邦捜査局(FBI)に供述。偵察地を訪れた捜査官は、艦艇の様子を観察できる立地について「素晴らしい眺望」と評価していた。共同通信が入手したFBIの捜査資料などを基に、ハワイでの2人の足跡をたどる。(敬称略、共同通信=新里環)

 ▽島巡り

 FBIの...