「松屋」のオープン日に行列をつくる来店客=26日、出雲市大塚町
「松屋」のオープン日に行列をつくる来店客=26日、出雲市大塚町

 知人から見慣れた看板の画像と共に「おめでとう」のメッセージがスマホに届いた。大手牛丼チェーン「松屋」が26日、出雲市に島根1号店を開店。空白県は鳥取だけとなった。

 東京で暮らしていた頃、定食は松屋、牛丼は吉野家と決めていた。「うまい、安い、早い」がキャッチフレーズの牛丼は最も安い頃に280円だった並盛が今は498円。物価高を感じる。

 かつて都会にあるものは山陰両県にはなかった。コンビニもそうだ。40年前、松江市にあったのは地元企業が運営した「アミーゴ」。学校帰りに通ったが、数店舗しかなかった。若い人は信じられないだろうが、大手コンビニの出店時に行列ができた。ネット通販もない。服などは地元で買うか都会に行くしかなかった。

 全国チェーン店の「黒船」が来て、ネット社会が進んで便利さが増す一方、中心市街地は空洞化する。JR松江駅に近い雑賀地区はスーパーや美容室、酒店、薬局など昔ながらの店が閉店し、コンビニが乱立。高齢化で空き家も増えている。

 県都の玄関口の在り方も定まらない。県外から訪れた友人は一昨年閉店した一畑百貨店を眺め「やばいね」と口にした。中長期的な視点は必要だが、スピード感も求められる。中心市街地や地域交通の課題も念頭に置いて市民の声をどう取り入れ、合意形成を図るかが問われる。大好きなチェーン店の出店を喜んでばかりいられない。(添)