新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、公立学校を設置する自治体のうち、小中学校で夏休み延長や臨時休校を実施している教育委員会が10%を超えることが7日、文部科学省の調査で分かった。土日を含めない休校日数は小中いずれも最大12日で、平均は4・7日。分散登校や短縮授業は20%超だった。文科省は「学校の感染防止策を支援しつつ、今後の状況を注視したい」としている。

 公立の小中高校などを設置する都道府県・市区町村教委に8月以降の対応状況を尋ねた。夏休みの終了時期は自治体によって異なり、9月1日時点で調査した。全教委の約9割に当たる1757教委が回答。学校種別では小学校1684教委、中学校1676教委、高校146教委などとなっている。

 夏休み延長や臨時休校の実施(予定を含む)は、小学校が209教委(12・4%)、中学校は215教委(12・8%)で、最大の12日間は茨城県常陸太田市と静岡県焼津市。分散登校・短縮授業は、小学校387教委(23・0%)、中学校384教委(22・9%)で、いずれも千葉県佐倉市の20日間が最も長い。

 一方、高校は休校が28教委(19・2%)、分散・短縮が50教委(34・2%)で、ともに小中よりも割合が高かった。

 都道府県別に見ると、休校の割合が最も高いのは茨城県で小中とも90・7%。分散・短縮は小学校が神奈川県の78・1%、中学校が福岡県の75・0%だった。島根県は休校が小中とも10・5%、分散・短縮が5・3%。鳥取県は休校が小学校5・3%だった。

 臨時休校と分散・短縮の両方に回答した教委もあり、いずれかの対策を取る教委の実数は、小学校467教委(27・7%)、中学校462教委(27・6%)、高校69教委(47・3%)となる。

 休校や分散・短縮をしている期間中の家庭学習の内容を複数回答で尋ねたところ、「教科書や紙の教材を活用」は小中とも半数を超えた一方で、「同時双方向型のオンライン指導」は小学校127教委(27・2%)、中学校141教委(30・5%)にとどまった。

 自治体で教職員へのワクチン優先接種が実施されたかどうかも調査。回答した1554教委のうち83・3%が実施済みまたは予定があるとした。

 

■オンライン整備ばらつき
 新型コロナウイルス感染拡大が続く中、夏休み明けの各地の学校で臨時休校や分散登校などを余儀なくされている実態が文部科学省の調査で判明した。現場は学びを止めないためにオンラインの活用を模索し、対面と組み合わせた「ハイブリッド」型の授業をする学校も。校内感染による休校も懸念されるが、自治体や学校によって体制整備にばらつきが大きいのが現状だ。

 「オンライン組の皆さん、教科書の地図を見てください」。緊急事態宣言下で分散登校を実施する横浜市立鴨居中。3日の1年生の授業で、男性教諭がパソコンのカメラに向かって丁寧に指示した。

 1クラスを2グループに分け、1日おきに登校と在宅を入れ替えるため、教室にいるのは半数。在宅の生徒は、政府の「GIGAスクール構想」で1人1台配備されたパソコンを自宅に持ち帰り、ビデオ会議システムを使って授業に参加する。教室内での感染リスクを抑えつつ、一体的に授業に加わることで「対面並み」の学びを実現できるメリットがある。

 ただ、ある女子生徒は「画面越しでは質問しにくい」と指摘。教員からも「オンライン組の反応をうまく引き出せず、一方通行になってしまう」との課題が挙がる。

 斎藤浩司校長は「ここで力を高めれば休校時にも対応できる。オンラインで不十分な部分は登校日の対面指導で補いたい」と語った。

 現在は通常通りの授業を実施している学校でも、感染への不安から自主的に休む児童生徒は少なくなく、感染者や濃厚接触者になれば登校できない。

 1日から始まった沖縄県沖縄市では、全小中学生計約1万5千人のうち約1300人が感染不安や感染疑いなどを理由に登校しなかった。ただ、教員の情報通信技術(ICT)活用研修をこの夏から本格化したばかりで、オンライン授業の準備が整った学校は限られている。

 東京都品川区立城南小は授業の様子をオンラインで生中継し、自宅でも学べるようにした。休み時間には教室からクラスメートが手を振って話し掛けるなど、児童同士のつながりの維持にも役立っている。

 しかし、低学年は自宅での学習に集中するのが難しく、大幅な導入には慎重だ。宮崎朋子校長は「学校は友人と学び、関わり合う中で心を育む場所。なるべく学校を開き続けたい」と話す。

 子どものワクチン接種が進まない中、感染力の強いデルタ株のまん延により校内でのクラスター(感染者集団)発生の懸念は根強い。地域一斉の休校には慎重な文科省だが、8月下旬に感染者が出た場合の休校判断のガイドラインを策定した。

 同一学級で複数の児童生徒の感染が判明すれば5~7日程度、学級閉鎖するとの目安を示し、別の学級に広がれば学年閉鎖、複数学年に及んだ場合は休校を実施するとしている。

 文科省幹部は「教育委員会や学校にオンラインの積極的な活用を促し、昨春の一斉休校のような学習に支障が出る事態を防ぎたい」としている。