2018年12月、富山市でデイサービスを経営する元警察官、江口実さん(84)は妻の富子さん(79)と一緒に入居者たちの朝食を準備していた。ふと見ると、4人の男が土足で入ってくる。4人は江口さんを見つけるといきなり羽交い締め。引きずるように連れ出し、外に止めてあった民間の救急車に無理やり押し込んだ。
車に5時間半も乗せられ、たどり着いたのは栃木県の報徳会宇都宮病院。何が何だか分からない。
「まるで拉致監禁。突然羽交い締めにされ、精神科病院に閉じ込められた」
江口さんに精神疾患はない。それなのに強制的に入院させられ、「刑務所以下の生活」を送ることになった。
「医療保護入院」を巡る深刻なトラブルが相次いでいる。江口さんはなぜこんな目に遭わなければならなかったのか。そして誰の仕業だったのか。探っていくと、精神科医療を巡る深い闇が見えてくる。(共...













