「おたすけセット」を紹介する坂根俊社長=出雲市多伎町口田儀、井山屋製菓多伎本店
「おたすけセット」を紹介する坂根俊社長=出雲市多伎町口田儀、井山屋製菓多伎本店

 全面通行止めが続く出雲市多伎町の国道9号沿いにあり看板商品「花馬饅頭(はなんばまんじゅう)」で知られる井山屋製菓(出雲市多伎町口田儀)が、客足が遠のいて困り果て、常連客の助言でインターネット販売を始めた。「おたすけセット」と銘打ち、人気菓子詰め合わせを売り出したところ「応援してます」と全国から注文が舞い込み、人情の温かさをかみしめる。

 1902(明治35)年創業の老舗菓子店。本店のほか、出雲市江田町にも店舗を構え、和菓子や洋菓子が長年、市民らに愛される。

 ところが、8月18日の地滑りの影響で国道9号が通行止めになると、本店には山陰道など迂回(うかい)路を通らないとたどり着けず、客がほとんど来なくなり、売り上げは平常時の3割に激減した。

 事態を打開しようと市内のスーパーに出店するなど試行錯誤する中、常連客の女性の「ネット販売したら?」との一言にすぐさま反応。知人に手伝ってもらいながら通販サイトを開設し今月2日、運用を始めた。

 助けてほしいという思いをストレートに表した「おたすけセット」は送料込みで2400~5千円の3種類。多伎町特産のイチジクを使ったカステラや焼き菓子などを詰め合わせた。

 6日までの5日間で島根県内外から150件以上の注文が入り、従業員5人が商品作りに追われる。

 売り上げは平常時ほどには回復していないが「わずかですが、応援してます」「地元が多伎町で、学生時代によく行ってました」と注文とともに届くメッセージに何より励まされる。

 5代目の坂根俊社長(44)は「こんなに広がるとは思わなかった。ネットを通じて人のつながりを感じた。感謝してもしきれない」と奮起を誓った。 (井上雅子)