高校生の学習スペースとして開放された図書館=浜田市野原町、島根県立大浜田キャンパス
高校生の学習スペースとして開放された図書館=浜田市野原町、島根県立大浜田キャンパス

 県立大が浜田キャンパス(浜田市野原町)の図書館を、高校生の学習スペースとして開放した。生徒に大学の雰囲気を味わってもらう狙いで、大学図書館が自習用に開放されるのは珍しい。キャンパスは徒歩や自転車で行くには難しい高台にあり、高校生の利用は進んでいないが、県立大は豊かな学習スペースと洋書の蔵書数をPRする。 (板垣敏郎)

 8月に開放したが、蔵書点検による閉館時期と重なり本格開始は9月から。浜田市内の高校生の学習スペース不足は深刻で、市民が市議会に提言する7月の「はまだ市民一日議会」でも浜田高校生徒が整備を訴えた。

 浜田高校(全日制生徒約560人)、市立第一中学校(生徒数360人)と教育機関が集積する黒川町に市立中央図書館があるが、学習スペースは32席。現在は新型コロナウイルス対策で16席に減らしており、すぐに埋まる。対して浜田キャンパスの図書館は220席で、コロナ禍でも120席が使えて潤沢だ。

 問題はキャンパスへのアクセス。2キロほどの急坂があり、普通自動車免許を持たない高校生には厳しい。県立大によると、図書館で高校生の姿をあまり見掛けないという。

 大学図書館は洋書が多いという良さがある。雑誌を除き蔵書約21万冊のうち3万冊を占める。お薦めは英語多読コーナーで、英語圏の未就学児|高校生の図書が集中。絵本に始まりアガサ・クリスティ、シェークスピアの作品も読める。図書情報課の二瀬恵子主任は「大学生もよく使う。レベルに応じて高校生も英語を楽しめる」と強調する。

 図書館は週末も開館。本の借り出し、社会人の利用も可能だ。日がな一日の本との対話に加え、好天なら日本海の眺望も楽しめる。清原正義学長は「高校生に大学を知ってもらう良い機会になる」と期待する。