3回目接種を開始または予定している主な国
3回目接種を開始または予定している主な国

 新型コロナウイルスワクチンの「ブースター」と呼ばれる3回目の接種について、政府が来週にも専門家らによる本格的な議論を始めることが10日、分かった。年内の接種開始も視野に専門家で構成する厚生労働省のワクチン分科会で議論し、11月ごろまでに対象者や接種体制を具体化していく。異なる種類のワクチンを用いる「交差接種」についても検討する。

 9日時点で国民の61・9%が1回目、49・8%が2回目の接種を終え、先行して始まった米国にほぼ並んだ。政府は11月初めごろまでに希望する人への接種終了を目指しており、3回目の開始はその後になる予定。

 田村憲久厚労相は10日の閣議後会見で「(分科会を)早急に開いて、方向性を決めないといけないと思っている。もし必要ということになれば、早急に体制整備をしていかなければならない」と述べた。

 現在、国内で接種できる3種類のワクチンは2回の接種が必要。ただ、ウイルスの増殖を防ぐ抗体の量が半年後には下がっていたとの分析結果が出ている。感染力の強いデルタ株に対しては、時間とともに感染予防効果が低下するとのデータもあり、2回目を接種した後に感染した例は国内外で多く確認されている。メーカー側は、再び免疫力を高めるために3回目の接種が必要との見解を示している。

 一方で、世界保健機関(WHO)は9日、接種が進んでいない発展途上国に公平にワクチンを供給するため、各国に年内の3回目接種実施は見合わせるよう要求した。

 ただ、既に各国で取り組みが進んでおり、イスラエルは12歳以上、米国は18歳以上が対象。ドイツやフランスなどは高齢者や免疫不全の人に限定している。

 厚労省は、対象者を限定するのかどうか分科会の意見を踏まえて判断する。政府内では「対象者を絞るのは難しい」という意見がある。各地に設置された接種会場を来年以降、同様に使っていくかどうかも課題になる。

 政府は、来年以降に米モデルナ製5千万回分、米ノババックス製1億5千万回分の供給を受ける契約を企業側と結んだ。米ファイザーからは1億2千万回分の供給を新たに受ける方向で協議を進めている。3回目接種が決まった場合、これらのワクチンが使われる。