放送倫理・番組向上機構(BPO)は18日までに、放送倫理検証委員会を開き、日本テレビ『月曜から夜ふかし』への意見について、日テレ側から提出された再発防止に関する取り組み状況などの対応報告について検討し、報告を了承、公式サイトに掲出した。報告書では出演承諾書の改訂や全体研修VTRの作成など、再発防止の取り組みが記載されている。
【写真】番組公式サイトに掲載されたお詫び全文
『月曜から夜ふかし』3月24日放送回の街頭インタビューにて、不適切な編集により、回答者の発言とは異なる内容で放送され、BPOで審議された。
BPOが公開した日テレの1月30日付の報告によると、日テレは昨年10月21日の同委員会で「VTR素材を恣意的に編集し、取材対象者が発言していない内容を発言したかのように、事実に基づかない虚偽の内容を放送した」として、放送倫理違反があったとの判断を受けたことについて「その判断を真摯に受け止めております」とした。
続けて決定を受けた対応と取り組みに触れ、同局の昨年10月21、22日のニュース番組を通して「本日のBPOの意見を真摯に受け止めております。ご指摘をふまえて再発防止に向けた体制の強化や社員・スタッフの研修に取り組み、今後の番組制作に活かしてまいります」とのコメントを放送したと伝えた。
委員会の決定内容については、社内の各部署に呼び掛けて意見書の全文を精読するよう周知した。コンプライアンス局では全社員に向けて10月27日に局長会資料として社内に周知したほか、10月28日に開いた報道審査委員会で意見書の内容を共有したという。
加えて、コンプライアンス局が全社員・スタッフに配信するメールマガジン(11月4日発行)に、BPOのホームページに掲載された意見書のURLを提示するとともに、コンプライアンス部門としてポイントと感じた2点「バラエティーとはいえ、事実に依拠する番組であること」「不正はないと思い込まず、プロとして疑念を持つこと」について取り上げ、再発防止を呼び掛けたという。
このほか、視聴者の意見や指摘を番組制作現場などに共有する「放送倫理・視聴者対応委員会」では、10月23日に意見書が指摘するポイントをコンプライアンス局より説明し、全社員が内容を胸に刻むべきであると促した。今年1月21日には、社長が委員長を務める「危機管理委員会」で、コンプライアンス局から委員会決定の概要と指摘を受けたポイント、これを受けた社内共有・議論の取り組みを報告したと明らかにした。
昨年11月11日に開かれた番組審議会で、コンプライアンス局考査部長から、委員会決定の内容と弊社の対応について報告した。委員からは、この事案はメディア全体への不信感を招く重大な問題であるとの指摘や、再発させないためのマネジメントをどう行うかが大切であるなどの意見が出されたという。
コンテンツ制作局では、11月4日にコンテンツ制作局全社員を対象にBPO意見書の周知とアンケートを実施し、12月1日にはコンテンツ制作局の189人が参加した全体ミーティングを開催したという。今年1月16日には『月曜から夜ふかし』制作スタッフ向け人権研修を実施した。1月20日には、BPO委員を招いた研修会も行った。
『月曜から夜ふかし』再発防止への取り組みとして、「従来は文章量が多く読みにくい内容だった」出演承諾書を改訂。簡素な書式に改めたという。
このほか、インタビュー素材の全文文字起こし確認や二次連絡(取材対象者への放送前の許諾確認)を番組プロデューサーの担当に変更するなど取り組みを行い、全9項目を明示。中には、これまでに放送倫理違反ありと判断された事案をまとめた全体研修VTRを作ったことも含まれていた。
報告書の最後では「アテンション・エコノミーが重視される現在の状況の中で、放送局が信頼できる情報源であり、健全な娯楽の提供者であり続けられるよう、これまでにいただいたご指摘を有機的につなげながら、『喉元過ぎれば熱さを忘れる』ということにならないよう脇を締めて、番組作りに取り組んでまいります」と結んだ。
■『月曜から夜ふかし』再発防止への取り組み全文
『月曜から夜ふかし』再発防止への取り組み
『月曜から夜ふかし』では再発防止に向け、以下の取り組みを行っています。
1)出演承諾書の改訂
街頭インタビューの際に取得する出演承諾書の書式を見直しました。従来は文章量が多く読みにくい内容だったものを、「企画内容を理解していただいているか」「反社会的勢力でないか」など、重要なポイントに絞った簡潔な書式に改めています。これにより取材対象者にも内容を明確に理解してもらえるよう改善しました。
2)インタビュー素材の全文文字起こし確認
使用するすべてのインタビュー素材を全文文字起こしし、不適切な編集(つなぎ替え・恣意的編集)がないか、制作会社、局の番組プロデューサーかチーフプロデューサー、第三者として「コンテンツ制作局番組事前チェックチーム」が、多段階チェックを実施しています。これにより、今回問題となった恣意的編集の排除を図っています。
3)二次連絡(取材対象者への放送前の許諾確認)を番組プロデューサーの担当に変更
大きな問題の一つと指摘された「アシスタントディレクターによる二次連絡」について、若手スタッフの理解不足も要因だったことを受けて、番組プロデューサーが行うことを義務化しました。プロデューサーが最終的な確認責任を負うことで漏れを防いでいます。
4)スタッフ間コミュニケーションの強化
「ディレクターの意識向上」と「孤立防止」のため、取材班とプロデューサーの会話量を増やす施策も始めました。「ディレクターチェックシート」を導入して、各ディレクターに取材・編集過程を振り返ってもらい、取材対象者が納得していない様子はなかったかなどについて聞き取り、ケアすべき点がないかを洗い出す仕組みです。気になることがあったときに、若手スタッフが局の番組プロデューサーに伝えやすい仕組みや、寄せられた声を番組内に共有するにはどうするのが良いかも話し合いながら構築中です。
5)番組全体会議でのヒヤリハットの共有
具体的事例をもとに、番組をおもしろくするために認められる編集と、認められない恣意的な編集の違いなど、判断の基準を毎週の番組全体会議で共有するようにしました。知識や制作力を高めるための取り組みです。
6)番組全体会議で人権研修を実施
街に出て一般の方にマイクを向ける上で人権について理解する必要があると考え、番組全体会議で毎回、人権について考えさせる問いかけをして、議論をしています。
7)人権に関する専門家の番組監修
人権・表現に関する専門知識の強化を目的に、人権問題に詳しい外部有識者に番組の監修を依頼し、アドバイザーの立場で関わってもらうことにしました。
8)汎用的不正防止システムの検討
番組個別の対策に留まらず、局全体で活用できる仕組みについても検討を始めました。現在、デジタル技術部門とともに、「文字起こしデータから不適切箇所を検知するAI」の開発可能性を探っています。実用化の時期は未定ですが、技術の力で人の手によるチェックを補完・効率化する取り組みに着手しました。
9)全体研修VTRの作成
これまでに放送倫理違反ありと判断された弊社の事案をVTRにまとめています。制作スタッフが入れ替わる機会などに視聴することで、同じことを繰り返さないための、会社全体の取り組みです。
■『月曜から夜ふかし』騒動をめぐる時系列
昨年3月24日:問題となる街頭インタビュー放送
3月27日:番組公式サイトで「お詫び」と題した文書を掲載。
3月28日:日本テレビも「この度の責任は、すべて日本テレビにあります」との声明を発表。
3月31日:問題発覚後初の放送も、言及なく、通常放送。
4月14日:BPOが審議入りを発表。同日放送では言及なく、通常放送。
5月12日:公式サイトで街頭インタビューの再開を報告。
9月11日:日本テレビ『2025年10月改編説明会』でコンテンツ戦略局 総合編成センター部長・大井秀一氏が「BPO審議に至ったことを極めて重く捉えています」としたうえで「一方で続けるという判断をしています」とコメント。「ひとつは再発防止策を社内で検討し、研修やチェック体制の見直しができることが確認できたこと。もうひとつは、視聴者の方から大きなご支持をいただけているということです。このようなトラブルが二度と起きないような再発防止策ができたうえで、引き続き面白い番組として提供できればと判断しました」と話した。
10月21日:BPOが「街頭インタビューの恣意的な編集に関する意見」を発表。
今年2月13日:BPOが放送倫理検証委員会を開催。対応報告を了承。
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