1998年12月、成田きんさん(右)の自宅で笑顔を見せる蟹江ぎんさん=名古屋市南区
1998年12月、成田きんさん(右)の自宅で笑顔を見せる蟹江ぎんさん=名古屋市南区

 人生を豊かにする「生きたお金の使い方」、というと何か投資詐欺の勧誘みたいだが、お金は自分の最期をみてくれる人に必要なだけ残して使い切る、それが一番の幸せ、と教えてくれる面白い本がある。

 ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)』。物騒なタイトルだが若者には今しか体験できないことを仕事の忙しさにかまけて先延ばしし、老後にお金は残ったが体力、気力がなくなったという後悔はしないように、と説く。

 とはいえ自分がいつまで生きるかは分からないし年金は頼りない。自然災害や病気も考えておく必要がある。以前、双子の長寿姉妹「きんさん・ぎんさん」がテレビのギャラをもらった時「半分は寄付し半分は老後に備える」と言ったように、いくつになっても不安は尽きない。

 それでも「あの世に持っていけるのは思い出だけ」と割り切って、思い出を増やすことを勧めているのが本書。遺産相続で身内が争う“争族”が起きるぐらいなら「子育てで一番お金に苦労している時に身内を援助するのは合理的」ともいっている。

 寄付も人生を豊かにする方法。きんさん・ぎんさんは先端を走っていたのかもしれない。ため込んだ「虎の子」の貯金を増やそうとして、詐欺で失うのは悲しい。あくまで余裕があってのことだが、誰にも邪魔されない生きた使い方を考えてみるのも、大事なお金の守り方になる。(裕)