出雲市多伎町の地滑りから18日で1カ月がたち、全面通行止めが続く国道9号の迂(う)回路の安全対策が課題となっている。土地勘があるドライバーの車や並行する高速道路を利用できないバイクが、狭い市道を高速で走行。地元住民が事故の懸念を訴える。(松本直也)
回り道は通行止め区間の南側にある市道山の空・後畑線(2・3キロ)。市が8月19日に案内を始めた。
高速道路を走れない125cc以下のバイクや、インターチェンジ(IC)のある大田市まで行ってしまう高速利用では、大回りになる地元住民のものとみられる車が幅4メートルの狭い道をひっきりなしに行き交う。
沿道に住む山本裕美さん(46)は「ヒヤヒヤものです。とにかくスピードを落としてほしい」と心配する。カーブが多く、下り坂ではスピードが出やすいためすれ違いで急ブレーキをかける車もある。地滑り前は周辺住民しか利用しなかったが朝の通勤、夕方の帰宅時間を中心に、通行量が目に見えて増えた。
地元からの安全対策を求める声を受け、市は側線を引き直し「徐行」「幅員減少」などの看板を設置したが、スピードを出す車も少なくない。
回り道の設定から1カ月間で事故は発生していないものの、市道路河川維持課の江角隆司課長は「看板だけで減速してもらうのは難しい。警察に指導をお願いし、(地元の)交通安全対策協議会に相談したい」と話す。
安全対策は、通行量が増加した山陰道のIC付近も必要となっている。
2日夜には、国道9号と山陰道を結ぶ県道出雲多伎インター線と市道との交差点で、県道を走る大型トラックと市道を走っていた車が出合い頭に衝突する事故も発生した。
松江国道事務所によると国道9号の片側交互通行による開通は10月中旬ごろになる。出雲署は通学、帰宅時間を中心にパトロールなどを強化するが、不慣れな道を行くドライバー個々の安全意識の向上も不可欠だ。