―「ヤスキハガネ」のブランド名で知られる特殊鋼メーカーです。
たたら製鉄に端を発し、1899年に前身である雲伯鉄鋼合資会社が創立され、今年で127年目を迎えました。現在は市内約100万平方㍍の敷地に約2400人が勤務し、プロテリアルの屋台骨ともいえる特殊鋼を製造しています。

 

―特殊鋼の用途とは。
世界的に見れば年間生産量10万㌧にも満たない小さな特殊鋼メーカーですが、自動車部品、金型材料、エレクトロニクス材、航空機・エネルギー材などの素材を世界中で使っていただいています。

 

―モノづくりの伝統と技術を支える工場訓があるそうですね。
「誠実生美鋼」です。「せいじつ びこうをうむ」と読みます。誠実でなければ美しい鋼は生まれないという意味で私も好きな言葉です。

 

―物流面など条件不利と思える創業の地・安来でモノづくりを続ける意味合いは。
協力会社とのモノづくりのサプライチェーンが形成されていることにあります。もともと当工場の構内で事業を始めて独立し、加工、試験を手掛ける企業も近くにあり、この地域でモノづくりが完結しています。これは大きなアドバンテージです。

 

―人材確保については。
機械を操作するオペレーターの採用については安来市や島根、鳥取両県、高校とも連携しながら努めています。高校卒業後は技能者養成員として1年間、座学を学び、各種資格を取得してもらい、現場実習を経て正式配属となります。技能ばかりに頼るのではなく自動化も進めますが、最後は「人」が大切です。

 

―2026年度に向けては。
力を入れている航空機・エネルギー分野の熱処理、加熱装置の投資は26年度にピークを迎えます。27年度に向けて、当社のメトグラス安来工場では、電気自動車(EV)などに使われる電気を帯びると磁力を帯びる軟磁性のある素材の量産体制を整えます。今後も200年、300年と地域の皆さまとともに成長してくことを願っています。

プロテリアル 安来工場は、日本刀の原料(玉鋼)を製造する”たたら”をルーツとし、1899年に創業し127年目を迎えます。現在も世界で唯一継承されるたたら製鉄を支援しながら、安来の地で世界各地に届ける特殊鋼ヤスキハガネを製造しています。近年、IT革新によりバーチャルな世の中が注目されるなか、リアルで世界水準のモノづくりの醍醐味を一緒に味わってみませんか?

渡邉 洋=山口県下関市出身(63歳)山口大学経済学部を卒業して、1985年に当時の日立金属へ入社。調達部長、複数の営業企画部長・事業部長(執行役常務)を歴任し、2024年に現職に就任。
約20年振りに再び安来の地に来ました。休暇にはドライブや温泉に浸ってオフを満喫しています。中海宍道湖に面し、東には大山、西には出雲大社と、神々が宿る奥ゆかしい地であると思っています。この自然豊かで鉄の街といわれる島根・安来の地を活性化させるために、魅力あるモノづくりを通じて、皆さんと一緒にこの地を盛上げていきたいと思っています。