ディズニー&ピクサー映画『私がビーバーになる時』(公開中)(C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
ディズニー&ピクサー映画『私がビーバーになる時』(公開中)(C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 ディズニー&ピクサーの新作映画『私がビーバーになる時』(原題:Hoppers)が公開され、日本アニメからの影響を制作陣が公言し話題を呼んでいる。監督・脚本を務めたダニエル・チョンとプロデューサーのニコル・パラディス・グリンドルがオンライン取材に応じ、『となりのトトロ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『魔女の宅急便』といった日本アニメの名作から強い影響を受けたことを明かした。

【動画】『私がビーバーになる時』日本版本予告

 本作は、“もしも動物の世界に入れたら”という大胆な発想から生まれたオリジナル作品。自然と人間の共存、世代を超えたつながりを描く感動作。現代社会が直面する環境問題や世代間の分断を背景にしたテーマ性も注目されている。

■ジブリ作品から受けた大きな刺激

 高畑勲監督によるスタジオジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)からインスピレーションを受け、ビーバーの生態系を徹底的に調査して制作されたと言われている本作。

 チョン監督は、「『ぽんぽこ』は、たしか10年ほど前に初めて観ました。正直に言うと、人生のその時点ではそこまで強い印象は残りませんでした。物語の構造がとても独特で、明確な主人公がいるわけではなく、全体として広がりのある群像劇のような作品ですよね。当時の僕には、あの物語をどう受け止めればいいのか、少し戸惑いがあったと思います。でも確実に心のどこかに残っていたんです」と振り返った。

 「今回の映画のアイデアを練っているときに、待てよ、これは高畑監督が『ぽんぽこ』でやろうとしていたこととすごくつながっているのでは?と気づきました。そこで改めて観直してみたら、年齢を重ねた今だからこそ、強く共鳴する部分がたくさんありました。人間が自然に与える影響、そして自然がそれにどう対処し、どう適応していくのか。そうしたテーマがはっきりと見えてきたんです。それは本作の大きなアイデアを形づくるうえで、非常に重要な参照点になりました。そこから発展させていったという感じです」と、制作過程を明かした。

 さらに、「僕にとって特別な作品の一つは『となりのトトロ』です。アメリカで再上映された際、上映前の紹介スピーチをさせてもらう機会があって、それは本当に光栄なことでした。『となりのトトロ』には、自然への敬意と美しさがあります。そして、子ども時代を見つめる観察眼と、独特のチャーミングさ、ほかでは代替できない、再現できない“魔法”があるんです」と語り、日本作品への敬愛をにじませた。

 すると、プロデューサーのグリンドルが「実は『魔女の宅急便』が私の娘の大好きな映画なんです。メイベルのことを考えるとき、キキと黒猫のことを思い出します。無意識のうちに、どこか共鳴している部分があると思います」と指摘。

 チョン監督も「居場所を見つけようともがく姿は、まさにメイベルそのもの」とうなずいた。

■巨大続編の時代に挑む“完全オリジナル”

 『ズートピア2』や『アバター』など大作の続編が続いた中で公開された本作。グリンドルは「本当に素晴らしい偶然だったと思います。というのも、『ズートピア2』や『アバター』と一緒に私たちの作品のトレーラーを流してもらえましたし、さらに冬季オリンピックもありました。宣伝する場が本当にたくさんあったんです。多くの人に作品を知ってもらう機会をいただけたことはとても幸運だったと感じています」と、宣伝戦略の追い風を明かす。

 チョン監督も「オリジナル作品を世に届ける難しさを実感していましたが、ディズニーは私たちの作品をどうすれば目立たせられるか、その最善の方法を模索してくれたんだと思います。巨大な続編作品の波に乗る形で自分たちの映画を紹介できたことに感謝しています」と、語った。

 日本に先駆け、世界各国で公開された本作は全世界興収8800万ドルを記録し、オリジナルアニメーションとしては異例の大ヒットスタートを切った。全米でもオープニング4600万ドルを突破し、ピクサー作品として高水準の成績を残している。

■ビーバーの生態が物語の“核”に

 物語の主人公は動物好きの大学生メイベル。思い出の森が高速道路計画で失われることを知り、動物の世界へと飛び込む。

 制作陣はビーバーの生態を徹底的に研究。グリンドルは「外見では性別が分からないことなど、調査の中で多くの発見がありました」と語り、チョン監督は「ビーバーが池を作ることで生態系が生まれる。この事実が物語の中心的なメタファーになりました」と説明する。

■日本の観客へメッセージ

 そんな本作について、ダニエル監督は日本の観客に向けて「劇場で映画を観るという体験そのものが、人と人とをつなぐ力になると信じています。この作品を観て笑い、楽しみ、そして何かを感じてもらえたらそれだけで幸せです」と語る。

 さらに「この映画は“つながり”の物語です。自然や動物、そして他者との関係を少しでも見つめ直すきっかけになればうれしい。より優しく、より忍耐強くなれるような小さな変化を生む作品になれたら」と願いを込めた。

 グリンドルも「観客のみなさんがビーバーのことを好きになってくれたら嬉しい。そして世界とのつながりについて考える時間を持ってもらえたら、それはとても素晴らしいことです」と笑顔を見せた。日本の観客の間でも、今後どのような反響が広がるのか注目されそうだ。