「被告北朝鮮の代表者は原告らに8800万円支払え」。今年1月、北朝鮮トップの金正恩朝鮮労働党総書記に高額な賠償金の支払いを命じる衝撃的な判決が東京地裁で言い渡された。裁判を起こしたのは、戦後に進められた帰還事業で「地上の楽園」ともてはやされた北朝鮮に渡り、「この世の地獄」を見た脱北者たち。その中には、家族のために海を渡った日本人もいた。「もし北朝鮮に行っていなかったら、どんな人生だったかな」。今年85歳になる斎藤博子さんは、その壮絶な半生を振り返った。(共同通信=助川尭史)
▽行きたくなかった「地上の楽園」
1941年、福井県で日本人の父、母の間に生まれた。17歳で眼鏡職人の在日朝鮮人の夫と結婚。ほどなく娘が生まれた。ちょうどその頃、自宅に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の職員が訪れ、しきりに北朝鮮へ渡るよう勧めるようになった。「病院も学校もお金はかからない...













