黒板の文字がぼやけ、初めて眼鏡を作ったのは、高校1年だった。裸眼で視力が出ないショック、眼鏡をかける姿の気恥ずかしさ、レンズを通して鮮やかに輪郭を結ぶ光景の驚き、見える喜び。感情が入り交じった。
小児弱視を中心とする子ども向けの眼鏡店「こどもめがね あいる」(米子市東倉吉町)の岡本拓弥代表(36)との会話から、当時の記憶がよみがえった。スタッフ全員が視能訓練士や看護師の有資格者で、岡本さんも市内の眼科医院などで目の検査に当たる視能訓練士。眼鏡をかけるのは「上手に目を使うため」。かける言葉が前向きだ。
1歳半から育つ視力は3歳で発達のピークを迎え、10歳までには完成される。その後の人生にまで影響を与えかねない「見えにくさ」の発見は、早いほどいいが、幼い子どもは言葉にできない。ならばと、鳥取県西部、さらには中部の自治体の3歳児健診に奔走。大学病院とも連携し、目の健康に寄り添う。
適切な眼鏡をかけることは「治療」の意味を持つ。処方箋の限られた情報から、その必要性、注意点も読み解いて伝えられる眼鏡店の開業は5年前。2号店(松江市末次本町、完全予約制)も昨年オープンした。
県外から訪れる親子連れもあるという。ショックや不安を一緒に受け止めてくれる存在は、どんなに心強いか。見える喜びと、その先に続く未来。子どもたちの笑顔が、まぶたの裏に浮かぶ。(吉)














