米国とイランの2週間停戦合意を受け、テヘランで集まった人たち∥8日(WANA提供・ロイター∥共同)
米国とイランの2週間停戦合意を受け、テヘランで集まった人たち∥8日(WANA提供・ロイター∥共同)

 松江の冬の寒さに音を上げて「ジゴク(地獄)」、湯船の熱さに耐えられず「ジゴク」、そして料理で出された糸こんにゃくを見て「ムシ(虫)! ジゴク、ジゴク」と大騒ぎ。

 松江ゆかりの明治の文豪・小泉八雲夫妻をモデルにした朝ドラ『ばけばけ』では、主人公のヘブン先生が「ジゴク」と叫ぶシーンが幾度も登場した。本来は生前の悪行で導かれる死後の世界を指す「地獄」という言葉を軽やかに受け止められたのは、コメディータッチの演出に加え、英国人俳優トミー・バストウさんの愛らしい演技もあったからだろう。

 こちらの「地獄」は重苦しい。「時間切れが迫っている。地獄が訪れるまであと48時間だ」。4日に交流サイト(SNS)に投稿し、イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡を6日までに開放するよう求めた米国のトランプ大統領。イランが拒否すると、今度は交渉期限を設け、合意できなければ発電所や橋など重要インフラを攻撃すると恫喝(どうかつ)してみせた。

 注目の期限を前に、2週間の停戦が合意し、イランはエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全な通航が2週間可能になるとした。とはいえ、この間に恒久的な戦闘終結の合意がまとまるか否かは見通せない。

 海峡封鎖の影響はわれわれの生活にも広がっている。原油高騰を引き金に値上げラッシュが続けば、ヘブン先生ではないが「ジゴク」と音を上げてしまいそうだ。(健)