将棋界は名人への挑戦権を争う「順位戦」のクラスで基本的に棋士の格が決まる。C級2組からA級まで五つのリーグがあり、在籍クラスが対局料などに影響する。百戦錬磨の猛者が集うA級棋士はわずか10人。今も昔もA級は憧れの肩書である。
こちらの世界では52年ぶりに“A級”が誕生した。国は今月、ブロッコリーを特定野菜から国民生活に欠かせない指定野菜に格上げした。ゆでて良し、蒸して良し、炒めて良し。彩り鮮やかで多くのタンパク質を含む。将棋界で例えるならば藤井聡太名人のような隙のなさである。
指定野菜昇格に伴い、市場価格が著しく下がった場合に、条件を満たした産地の農家を補給金で支える仕組みがあり、流通も安定する。
だが、農家にとっては都合のいい話ばかりではない。ブロッコリーは気温が上がると一斉に出荷されるため、供給過多になりやすい。加えて指定野菜追加を機に新規参入が増え、競争激化が見込まれる。大山山麓の黒ボク土で栽培され、高い評価を受けている「大山ブロッコリー」も安穏としていられない。農家の高齢化が進む中でいかに特色を打ち出すか、今が正念場である。
ところで藤井名人はブロッコリーの芯の食感が苦手という。そんなおちゃめな名人には、ブロッコリーとビタミン菜を交配した島根県の「あすっこ」をお薦めしたい。今が旬で甘くてやわらかく栄養価もなかなかである。(玉)














