伊藤忠商事の入社式でスクリーンに映されたAIアバターの司会進行役=1日、東京都港区
伊藤忠商事の入社式でスクリーンに映されたAIアバターの司会進行役=1日、東京都港区

 今年も新社会人がスタートを切った。時代の波にもまれつつ自分の道を見つける旅の始まりだ。その「波」の話になるのだが、人工知能(AI)が普及し、われわれ昭和世代の経験では計り知れない部分が増えている。

 家電や自動車を動かし人生相談までこなすAIは暮らしの隅々にまで入り込んでいる。その裏でアメリカのIT企業では人員削減が進み、オフィスで働くホワイトカラーの3割がAIに仕事を奪われる危機にある。

 AIを人員整理の口実にしているという見方もあるが、特に経験が浅い若者が影響を受けやすい。今は引く手あまたのプログラマーなども例外ではなく、高学歴が仕事と高収入を保証する時代は変化した。

 2024年のノーベル経済学賞を受賞した経済学者のサイモン・ジョンソン氏は、AI企業に富が集中する一方で「工場や建築現場などで働くブルーカラーの仕事は減らず、賃金が上がる」とみている。実際アメリカでは一足早く、実業系専門学校の人気が高まった。

 農林水産、製造、建設、サービスなど額に汗して働くことは、血が通わないAIには無理な注文だ。現場ではAIを柔軟に使いこなす働き方が求められるが、そこは若いデジタル世代の得意分野だろう。顧みると記事を書く仕事も同じで、血の通った記事が書けているかと自問しつつ、額に冷や汗をかきながら、複雑な時代を追いかけていくしかなさそうだ。(裕)