出雲市斐川町で35年間続いた春の風物詩「チューリップまつり」が、11、12の両日にある今年のイベントでいったん終了することになりそうだ。2017年から唯一の栽培農家となった北村一夫さん(71)と妻の宏子さん(64)=出雲市斐川町今在家=が今年限りで栽培を終える。かつて関わった仲間たちは、会場に夫妻への感謝を込めた看板を設置し、「節目」を盛り上げる。
斐川町でのチューリップ栽培は、1965年ごろからコメの裏作として広まった。91年に同町福富で始まった「斐川チューリップフェスティバル」を前身として、開催地を今在家へ移しながら、一時は12ヘクタールに広がった。
しかし高齢化などを理由に栽培農家が減り、現在は北村さんが約70アールで栽培している。球根出荷の利益はほとんど出ず、夏場の高温で保存にも苦労が続く。体力も考えて今年栽培を終える決断をした。
今年のイベントを前に30種25万本が花開いた。壮観さは変わっておらず、JAや市、市の観光協会が別の土地での栽培やイベントの継続を探るが、めどは立っていない。一夫さんは「毎年春にお客さんが喜んでくれるのを励みになんとか続けてきた。生きがい、じゃあないけれど」と今後を案じる。
最後の農家としての役割を終えるが、菜の花、ハスやシクラメンなどと並んで花のまちを彩ってきた立役者に、斐川チューリップフェスティバルの創設に関わった農家の仲間が「かずさん ひろこちゃん ありがとう」と書かれた看板を設置した。これを背に最後の準備に余念がない一夫さんは「最後だから、全部きれいに咲いて、たくさんの人が癒やされてほしい」と願う。
まつりは両日とも午前9時半~午後5時。今在家農村公園に駐車場を設ける。(今井菜月)













