国土交通省が7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。全国平均では商業地が2年連続で下がり、住宅地も下落が続いている。全般的には新型コロナウイルス感染症の流行を受けて外国人観光客が来られなくなり、飲食店への営業自粛が求められた期間が長かったことが影響したと分析できる。

 地域別では、三大都市圏の商業地はこの1年で名古屋圏がプラスに転じ、東京圏は幅は縮小しながらも上昇を継続し、大阪圏は下落に転じた。住宅地では東京圏、名古屋圏がプラスに転じ大阪圏の下落幅は縮小。地方圏のうち札幌、仙台、広島、福岡の地方4市の商業地、住宅地はともに9年連続で上昇した。

 一方、4市以外の地方圏では商業地、住宅地とも下落が続く。山陰両県は全用途の平均変動率がともにマイナス1・1%で、島根は21年連続、鳥取は23年連続の下落となった。ただ、下落幅は縮小。住宅地は地点によって底堅い動きも見られた。

 コロナの「第1波」に対応した昨年4月の緊急事態宣言では人の流れが全国的に止まり、飲食店以外にも営業自粛が求められた。厳しい措置に加え収束の見通しも立たず経済、生活の先行き不透明感が広がった。

 この結果、住宅の購入を見合わせる人が多かったこともあって住宅地は昨年、三大都市圏全てで下落した。その後、流行の波を重ねて感染対策は、飲食店の営業自粛とリモートワークが柱となる。第1波のような「接触機会8割削減」といった厳しい掛け声もなく、経済活動を続けながらの対応となった。

 結果、都市部の商業地のうち飲食店が集積する東京都の新宿・歌舞伎町、飲食店や訪日外国人に頼っていた大阪市の繁華街・ミナミなどは引き続き下落。オフィス需要は店舗需要よりも比較的安定しているものの東京都心5区、大阪市中心部の空室率は上昇している。

 コロナ対策の在宅勤務が普及することでオフィス縮小、拠点集約の動きが出ており、今後の商業地の動向を注視したい。

 他地域からの転入などで人口が増えている地域では、低金利、住宅ローン減税のような住宅を購入しやすい環境もあって住宅地は持ち直しつつある。コロナの影響は限定的だったと言える。

 今回の地価でも、同じ都市内で上昇と下落の地点が混在した。再開発、利便性の向上などの要因がある所では上がり、それ以外は人口の減少もあって下落するという「地価の二極化」が進んでいると考えられる。

 現在、1億2500万人の人口は2050年には1億人に減る見通し。多くの自治体は、人口減少を前提にまちづくりをさらに進めるべきだ。

 その方策として都市のコンパクト化がある。中心となる地域を定めて医療・福祉・商業の各施設、住宅、公共交通を誘導する手法だ。

 多くの自治体がこれを進める立地適正化計画を策定。計画の居住誘導区域から、浸水被害防止区域など災害の恐れのある地域が原則除外されることも決まり、災害への備えにも役立つ。

 バブル期のように地価が全国で同時に上昇する時代はもう来ない。誘導によって中心地域の地価を維持することで、固定資産税収などを安定して確保する。それ以外の地域では新規の開発を抑える。こういった長期的な視点に立った、計画的なまちづくりが待たれている。