秋のダイヤ改正で大幅に減便するJR山陰線の利用促進を目指して、島根県が本庁職員の県西部への出張について、山陰線とレンタカーを組み合わせる方法を今秋より実施する。松江駅を出発し、浜田、益田各駅で降りて目的地までレンタカーで向かう仕組み。県が先頭に立って利用することで鉄路の重要性をアピールする。
浜田市以西の出張が対象。これまで目的地が駅から離れている場合は、松江から公用車で向かう場合が多かったが、県がレンタカー会社の法人会員となり、駅からレンタカーで石見部の中山間地域などを回る体制を整えた。8月中旬に始めたが、出雲市多伎町の地滑りで、すぐに山陰線が不通となったため、運転再開に合わせて仕切り直す。
松江市から浜田市以西への公用車を使った移動は2020年に約1千件。22年3月末までで100件を想定し、レンタカー代や燃料費に約70万円を見込む。本庁に58台ある公用車は日々、ほぼ全台稼働するため、公用車不足解消にもつなげる。
JR西日本米子支社は10月2日から、新型コロナウイルス感染拡大で落ち込んだ利用状況を踏まえ山陰線14本の普通列車を減便する。県や10市町、各地の商工会議所など28団体でつくる県鉄道整備連絡調整協議会(会長・丸山達也知事)はコロナ禍収束後の速やかなダイヤ復活をJR西米子支社に要望した。
県交通対策課の土江裕之課長はJRに便数維持を求めるだけでなく「県職員が率先して利用することが、県民に利用を呼び掛ける上で大切」と説明。協議会の構成団体にも趣旨を説明し、利用を働き掛ける。
出雲市多伎町の地滑りで運転を見合わせている山陰線江南(出雲市湖陵町三部)-田儀(同市多伎町口田儀)駅間の運転再開は10月2日の見通し。 (曽田元気)