安来市出身の陶芸家・河井寛次郎(1890~1966年)の作品や人となりを紹介する講演会が25日、益田市有明町の島根県芸術文化センター・グラントワであり、来場者30人が民芸運動をけん引した河井の足跡に触れた。
グラントワで開催中の企画展「河井寛次郎と島根の民藝(みんげい) 手がつくる、親しいかたち」(県立石見美術館、山陰中央新報社など主催)の関連イベント。河井の実の孫で、河井寛次郎記念館(京都市)学芸員の鷺(さぎ)珠江(たまえ)さん(64)が講師を務めリモート出演した。
鷺さんは「河井は初期のみやびな作風を捨て、大正末から昭和4(1929)年まで制作をストップした後、暮らしの中で使う器を作った」と、民芸運動と連動した中期の作風について説明。
陶芸家の浜田庄司、思想家の柳宗悦との3人で興した民芸運動を「タケノコを入れる竹かごや、寺で使うろうそくの芯切りばさみに美しさを見いだした」とスライドを交えて紹介した。
「自分がデザインした真ちゅう製のキセルをうれしそうに使っていた」と振り返り「河井は自分の作品について講釈しない人。皆さんも作品を見て自由にイメージを膨らませてほしい」と語り掛けた。
会期は11月1日まで。開館時間は午前9時半~午後6時(入場午後5時半まで)。毎週火曜日休館。観覧料は一般千円、大学生600円、小中高生300円で未就学児無料。
(中山竜一)