立春を迎えた直後の大阪はまだ肌寒く、空は雲に覆われていた。午前8時20分ごろ、男性(84)は、寝室のベッドに眠る72歳の妻に近づいた。
10分後、「妻の首を絞めた」。110番に、切羽詰まった声で通報が入った。警察からの連絡を受けた息子が急ぎ向かうと、男性は数人の警察官に囲まれ、放心したように寝室のベッドに腰かけていた。
男性は約40年間、途中からは寝たきりになった妻の介護を続けていた。70代半ばには認知症を発症。警察の聴取に「疲れた」と話した。
書き残した27冊の介護日誌には、深い苦悩や、体力への不安、ささいな体調の変化に一喜一憂する様子が克明に刻まれていた。なぜ、悲劇は起きたのか。(共同通信=富田真子、工藤優人)
▽結婚から15年後
男性が8歳...













