ウーバーイーツの配達員が身に着けるバッグ
ウーバーイーツの配達員が身に着けるバッグ

 料理宅配大手「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の宅配サービスが28日、松江、鳥取の両市で始まった。開始時期は徳島県、福井県と並んで全国最後となったが、有名サービスの県内上陸は興味をそそられる。今後は、都心部に住む友人が会員制交流サイト(SNS)で料理宅配を楽しむ様子をうらやむことはなさそうだ。早速利用してみた。(Sデジ編集部・吉野仁士)

 

 ウーバーイーツは宅配や貨物事業を手掛ける米企業の「ウーバー・テクノロジーズ」が2015年12月にカナダで始め、現在は世界6大陸6千以上の都市の10万店舗以上でサービスを展開している。日本では2016年9月に東京で始まり、2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛で宅配需要が急増し、人気になった。

 システムは、専用のスマートフォンアプリを使い、登録された飲食店の料理を注文すると、ウーバーイーツが業務委託する配達員が、自転車やバイクで30分程度で料理を届けてくれる。料金は料理代に加え、配送手数料(150円程度)とサービス料(総額の10%)がかかる。宅配の際、配達員が背負う「Uber Eats」と書かれた立方型の黒いバッグがサービスのシンボルになっている。

 松江市の登録店舗は地元のお弁当屋やパン屋約40店。配達エリアはJR松江駅を中心に、橋北は西川津町から黒田町の一部まで、橋南は浜乃木から東津田町までの一帯が対象になった。鳥取市も約40店舗が登録し、北は千代水、南は大覚寺あたりまで配達する。現段階では両市とも、飲食店が集まる市中心部限定のサービスのようだ。

 

料理のカテゴリーは14種類、配達時間も分かる

 28日の午後1時半。会社での仕事が一段落し、飲食店が昼食の客で混む時間帯が過ぎたタイミングで、初めての注文に取りかかった。アプリは事前にインストールしており、名前と届け先、連絡先、支払いのカード情報や決済方法を登録するだけですぐに使える。今回の届け先は職場がある松江市殿町の山陰中央ビル6階に指定した。

 専用のアプリを開くと、「近くの人気レストラン」「全国的に有名な人気店」「新着店」と分類されたたくさんの飲食店が表示された。料理ごとの分類もあり、「ピザ」「中華料理」「丼物」「ファストフード」と14種類の中から選べる。

 店を選ぶと、注文できる料理の写真と料金、配達にかかる時間が表示された。特に配達時間の表示は、仕事の休憩時間中に間に合うかを知る目安となるため、ありがたい。メニューが見ることができるので、行ったことのない店がどんな料理を出しているかを手軽に確認できるのも助かる。

 どの店のどの料理にしようか一つ一つ見ているだけで20分が経過した。小腹がすいた程度だったため、今回は配達予定時間20分程度と表示されていたサンドイッチ屋「パンタグラフ」(松江市末次町)に決めた。ロースカツサンドやいちじくのクリームサンドを6点注文し、計2188円。サービス開始特典として配送手数料が10月27日まで無料な上に、初回注文分は割引クーポンが使える。「試しに注文してみようか」と思える魅力的な特典だ。

 

配達時間はリアルタイム更新

 午後1時50分に注文が完了すると、「現在対応中です」という文章とともに、「配達予定時間 午後2時30分」と表示された。この時点でおおまかな配達時間が分かるのか。時間通りに配達されれるのか、時計をチェックする。

 注文を受けたパンタグラフの調理と同時進行で、近くにいる複数の配達員の専用アプリに「注文が入った」という通知が来る。配達員は店までの距離や忙しさを考え、自身が配達したい場合は引き受ける意思表示をして店に品物を取りに行き、注文者の所に配達するという流れ。飲食店が配達員を雇う必要がないため、飲食店の負担を減らし、宅配の売り上げが確保できる。

 注文から約10分経過した頃、配達員が決まったという通知が来た。と同時に、配達予定時間が「午後2時20分」に繰り上げられた。より正確な時間がリアルタイムで更新されていくようだ。アプリには配達員の顔と名前、現在位置が表示されるため、配達に気付かずにすれ違う心配は少ない。

 

配達員との接触は必要最低限

 しばらく待っているとアプリに「まもなく注文の品が届きます」の通知が。わくわくしながらエレベーター前で待っているとすぐに扉が開き、アプリで見た顔の配達員が「お待たせしました、ウーバーイーツです」とにこやかに商品を手渡してくれた。時計を見ると午後2時23分。エレベーターに乗る際の時間を除けば、ほぼ時間ぴったりの到着。恐れ入った。

注文したサンドイッチを届けてくれたウーバーイーツの配達員。撮影中にも別の注文が入るなど、サービス開始初日から忙しそうな様子だった(写真の一部を加工しています)

 支払いは事前に登録したカードで決済されるため、接触は最低限だ。今回は取材のために対面配達を希望したが、玄関に商品を置いてもらう「置き配」も選択できる。コロナ禍で接触が気になる人や、配達員とのやりとりが煩わしい人が利用しそうだ。

 ウーバーイーツを実際に使ってみて、配達サービスとしてはかなり便利だと感じた。従来の出前、配達は電話での注文や対面での支払いという一手間があることで敬遠していたが、ウーバーイーツは注文、受け取り、支払いまでを誰とも接することなく完結できる。有名店と聞くが並んでまで入るのは気が進まない、気にはなっているが1人で行くのは心細い、という人が簡単に料理を楽しめる。

 飲食店にとっても、注文する側にとっても、配達員にとっても、新しい便利で有益なサービスとして定着するのか、今後の展開を注視したい。