実証実験が行われる13道府県
実証実験が行われる13道府県

 政府は30日、新型コロナウイルスワクチンの接種証明などを使った行動制限緩和の実証実験の概要を発表した。飲食店やライブハウス、小劇場、スポーツイベントを対象に13道府県で10月から実施。会場でワクチン接種歴や検査の陰性証明を円滑に確認できるかどうかや、事後に感染者が発生した場合に備えて入場者のリストを作成するなどの手順を検証する。

 一方、19都道府県に出ていた緊急事態宣言と8県のまん延防止等重点措置は30日の期限で全面解除となった。政府は感染が再拡大した場合も一律に制限を強化しなくても済むよう今回の実証実験の枠組みを活用する方針で、感染抑止と経済活動の両立を目指す。

 13道府県は北海道、埼玉、千葉、神奈川、愛知、石川、滋賀、京都、大阪、兵庫、福岡、熊本、沖縄。第1弾として愛知を除く12道府県の飲食店で実証実験を行い、北海道、愛知、大阪、熊本の4道府県ではライブハウスや小劇場でも実施する。ワクチンの2回接種済証か陰性証明のどちらかがあれば緩和する。観光なども今後対象とする方針で、自治体もさらに追加される可能性がある。

 実験では、飲食店での5人以上の会食や営業時間の延長、イベントの入場人数の上限超えを可能にして、運用面の課題を確認する。換気状態の計測なども行う。飲食店は感染対策について第三者認証を取得していることが前提。具体的な店舗名や劇場名などは今後公表する。

 大規模イベントは、愛知県豊田市で10月6日に開かれるサッカーJリーグの試合を皮切りに、10月後半に北九州市で行われる世界体操・新体操選手権などで実施する。接種歴や陰性証明の確認のほか、人の密集やマスク着用率、大声の状況を把握する技術なども試す。

 

 Q&A  運用の課題洗い出す

 

 政府は新型コロナウイルスワクチンの接種証明などを使った制限緩和の実証実験を行います。

 Q 目的は。

 A 店舗やイベント会場の入り口で実際に入場者にワクチンの2回接種済証や検査の陰性証明を示してもらい、確認にどのくらい時間がかかるかや、運用上の問題が発生しないかどうかなど、課題を洗い出すのが狙いです。後から感染者が判明した場合に保健所の調査や追跡がしやすいよう、入場者のリストも作成するなどし、効果を検証します。

 Q どこで実施しますか。

 A まずは北海道や京都府、沖縄県など12道府県の飲食店と、愛知県や熊本県など4道府県のライブハウスや小劇場で実施します。具体的な店舗名や劇場名は今後、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室のホームページで公表します。サッカーJリーグの試合などでも10月6日から実施します。

 Q ワクチン接種済みでも感染する「ブレークスルー感染」などは問題ないのですか。

 A 飲食店に関しては感染防止の第三者認証を取得していることを条件にし、ライブハウスや小劇場、イベント会場も引き続き対策をしっかり講じてもらいます。店内や会場の換気状況の計測や、イベントの来場者が直行・直帰しているかどうかを観測する技術なども試し、日常生活の回復に向けて役立てたい考えです。