田中一郎副支部長(左)から感謝状と観察用パンフレットを受け取った松原隆校長(中央)と篠原結光さん=鳥取県伯耆町吉長、岸本中学校
田中一郎副支部長(左)から感謝状と観察用パンフレットを受け取った松原隆校長(中央)と篠原結光さん=鳥取県伯耆町吉長、岸本中学校

 長年、校舎に付いた100個以上のツバメの巣を撤去せず見守る鳥取県伯耆町立岸本中学校(伯耆町吉長)の愛鳥精神が評価され、NPO法人日本野鳥の会(東京都)から感謝状を贈られた。かつて撤去を検討したが、保護を願う地域住民の声に押され、周辺の豊かな自然環境のシンボルとして残してきた。今後も生徒や教職員が子育てを温かく見守るつもりだ。
 巣を作っているのはコシアカツバメ。体長18・5センチで腰が赤い。4月に東南アジア周辺から日本に飛来して繁殖し10月に南に去る。
 岸本中学校には、少なくとも20年ほど前から鉄筋コンクリート4階建て校舎1~4階のひさし内側にツバメの巣がある。100個を超す多さで、うち50個ほどが毎年、繁殖に使われる。ふんで校舎が汚れる被害もあって、かつて撤去を検討したが、住民から「巣を守る温かい雰囲気がにじみ出ている」との声が上がり、学校は日本野鳥の会県支部に相談。頑丈な建物構造で周辺に水田や日野川があり、えさとなる虫が捕りやすく、子育てに適す環境と評価され、保護を決めた。
 野鳥の会県支部によると、日本へのツバメの飛来数は年々減少。農地が荒れて虫を捕れる環境が減り、住宅の洋風化で巣作りに適す軒下が減ったことなどが要因という。田中一郎副支部長(72)は岸本中について「これだけの巣の数は県内でも珍しい。生徒には自然を大切にする心を養ってほしい」と願う。
 30日に岸本中で贈呈式があり、松原隆校長(57)と共に感謝状とツバメ観察用パンフレット300部を受け取った生徒会長の篠原結光(ゆうひ)さん(15)=3年=は「ツバメについて勉強しこれからも守りたい」と意気込んだ。
(柴田広大)