益田市久々茂町で3日夕に50代の男性がクマに襲われてけがをしたことを受け、島根県と市が4日、現場付近に捕獲用のおりを設置した。市内では2014年以来、7年ぶりの人的被害。現場の約1キロ西には市立豊川小学校があり、児童の登校を見守る周辺住民らが警戒を強めた。
現場はJR益田駅から約5キロ東の国道191号・伏谷トンネル脇の側道。益田広域消防本部によると、ランニング中だった男性が体長1メートルほどの子グマに襲われた。頭部をかまれ、両腕を引っかかれたが、命に別条はないという。
現場から約150メートル離れた所に住み、救急車を呼んだ坂根俊美さん(83)は「玄関を開けると、助けを求めた男性が顔から血を出した状態で座っていた。『クマにやられた』と話していた」と振り返った。
4日は、県と市の職員5人が全長1・4メートルのおり1基と、注意を促す看板を現場付近に設置した。児童の登下校には保護者や教職員が同行し、益田署員らが1週間ほどはパトロールをする。
日ごろから登校に付き添う「豊川地区子ども見守り隊」の御神本康一代表(70)は「身近な所で被害が出て衝撃を受けた。子どもや住民の安全を守るため、自治会や公民館と連携して対策を取らなければならない」と語気を強めた。
被害が発生した豊川地区ではクマの目撃情報が相次いでおり、自治会が9日に住民向けの対策講習会を開く予定だった。市農林水産課の桐木俊始課長は「朝夕のクマが出没しやすい時間帯の外出は特に注意し、鈴の持参や複数で出掛けるなど、安全第一で行動してほしい」と呼び掛けた。
益田市内では14年6月、匹見町で当時60代の男性がクマに襲われ、顔や肘に軽いけがを負う被害に遭っている。
(石倉俊直)