【益田】伝統芸能「益田糸操り人形」を継承する益田糸操り人形保持者会(20人)の定期公演が3日、益田市内であり、来場者80人が機微を表現した人形の繊細な動きを楽しんだ。
「寿三番叟(ことぶきさんばそう)」や「絵本太功記 尼ヶ崎(あまがさき)の段」など4演目を披露。人形遣いが高さ1・5メートルの板の上から13~18本の糸を操って丈約70センチの人形に微妙な動きを伝え、恐れや嘆きの感情を巧みに表現した。
高津小学校5年、横田一太君(10)は「人形の細かい動きがリアルだった」と感想を述べた。
保持者会の岡崎文宏会長(63)=益田市桂平町=は市内で5月に新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生するなどしたため、練習時間の確保に苦慮したと振り返り「定期公演は伝統芸能を未来につなぐ場であり、開催できてホッとしている」と話した。
益田糸操り人形は1887年ごろ、東京・浅草で人形芝居を興行していた山本三吉が益田を訪れ、当時盛んだった浄瑠璃の愛好者団体「小松連」に伝えたのが始まりとされる。1963年に島根県無形民俗文化財に指定された。
定期公演は保持者会やいわみ芸術劇場、県、市が主催し年3回開催。今年は3月に開き、6月は新型コロナ禍で中止となった。 (中山竜一)