2011年の東日本大震災では、女性の多くがさまざまな困難に直面した。着替えや授乳がままならない避難所や、周囲の助けを得にくい育児―。その後も続く災害に教訓は生かされているのか。当事者や支援者の声に耳を傾けた。 多くの女性が厳しい状況にさらされた東日本大震災を受け、国が災害対応に女性の視点を反映させる指針を作成するなど政策面は前進した。識者は「実際に対応する市町村など現場への浸透が鍵だ」と指摘する。

 「災害では女性や子ども、脆弱(ぜいじゃく)な状況にある人々がより多くの影響を受ける」。東日本大震災で被災した仙台市で2015年に開かれた国連防災世界会議の成果文書は指摘する。国際社会では1990年代からこのことを災害対応で考慮する必要性が言われてきた。

 日本では95年に阪...